2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

第22回 武術という根を断てば、勝つことを目的としたスポーツとなる

嘉納は、柔道と競技やスポーツは異なるという認識をもっていた。また、柔道は「スポーツ化」することによってその教育としての力を失ったという理解もある。そこで今回は、柔道とスポーツの違いについて、3点ほどみていきたい。なお、ここでいう「スポーツ」…

第21回 ズルズルと、便法にしたスポーツ論に溺れてしまった。

引き続き、長期的な目標と短期的な目標のバランスの問題についてみていきたい。もし、柔道につき、短期的な目標(試合の勝利)のみが追求され、長期的な目標(人間教育)がおろそかになっていたとすれば、それは何故だろうか。以下三つほど挙げてみる。 成果…

第20回 道に順って負ければ、道に背いて勝ったより価値がある。

前回まで、 嘉納はどのような人を育成しようとしたのか。 どのような方法で育成しようとしたのか。 誰を育成しようとしたのか。 についてみてきた。そこで、再び、第一回のテーマ「柔道はよい子を育てるか。」に戻って、現代の柔道の問題についてみていきた…

第19回 中国人留学生の教育事業(作成中)

※現在作成中これまで「嘉納はどのような人間を育成しようとしたのか。」と「嘉納はどのような方法で育成しようとしたのか。」という点をみてきた。今回は、「嘉納は誰を育成しようとしたのか。」という点に関し、特に、嘉納が数え年37歳から42歳までの間にお…

第18回 男一匹、かけがえのないこの生涯をささげて悔いなきもの。

「先生の理想郷は、全世界の人類がいずれも健やかに、各々そのところを得て幸福を味わいうる、仏教でいう極楽の如き世界であった。」と評されるが、嘉納は、第12回でみたように、自らの理想の実現のため、主に三つの方法を採った。第一が、「精力善用・自他…